最新版・法改正を踏まえて分かりやすく解説~
「建設業許可を取得したいが、『専任技術者』という言葉と『営業所技術者等』という言葉が出てきて違いが分からない。」
令和6年(2024年)の建設業法改正以降、このような疑問を持たれる方が非常に増えました。
実は、インターネット上には今でも「専任技術者」という名称で説明している記事が数多く残っているため、初めて許可申請を行う事業者の方が混乱するのも無理はありません。
この記事では、2026年6月現在の制度に基づき、「専任技術者」と「営業所技術者等」の違い、制度改正のポイント、実務上注意すべき点を分かりやすく解説します。
「専任技術者」という名称は現在どうなったのか?
令和6年12月13日に施行された建設業法改正により、従来の「営業所専任技術者」という制度は、「営業所技術者等」という名称に改められました。
ここで重要なのは、制度そのものが廃止されたわけではないということです。
営業所に技術的な責任者を配置し、適正な請負契約や施工体制を確保するという制度の基本的な考え方は従来と変わっていません。
一方で、働き方改革や建設業の人材不足に対応するため、一定の条件を満たした場合には営業所技術者等が工事現場の主任技術者・監理技術者を兼務できる制度が新たに整備されました。
営業所技術者等とはどのような人なのか
営業所技術者等とは、建設業許可を受ける営業所ごとに配置しなければならない技術者です。
営業所では、
- 技術的な見地から契約内容を確認すること
- 見積書や請負契約の技術的事項を判断すること
- 適正な施工体制を維持すること
などの重要な役割を担っています。
つまり、営業所技術者等は「営業担当者」ではなく、営業所の技術的責任者という位置付けになります。
営業所技術者等になるための要件
営業所技術者等になるためには、建設業法で定められた技術的能力を有していることが必要です。
代表的な要件は次のとおりです。
- 国家資格を保有している
- 指定学科卒業後の実務経験を有している
- 所定年数以上の実務経験を有している
また、営業所における勤務実態があること、いわゆる常勤性も重要な審査項目です。
近年は社会保険の加入状況や勤務実態なども含めて確認されるため、名義だけを借りた配置は認められません。
主任技術者・監理技術者との違い
実務で最も混同されやすいのが、営業所技術者等と主任技術者・監理技術者です。
営業所技術者等は営業所に配置される技術者です。
一方、主任技術者・監理技術者は工事現場ごとに配置される技術者です。
つまり、
- 営業所を管理する人
- 工事現場を管理する人
という違いがあります。
建設業許可申請では、この違いを理解していないことによる補正が少なくありません。
法改正で何が大きく変わったのか
今回の法改正で最も注目すべき点は、
営業所技術者等が一定の条件下で工事現場を兼務できるようになったことです。
従来は、「営業所にいる人は現場に出られない」という理解が一般的でした。
しかし現在は、
一定の条件を満たす場合には、営業所技術者等が専任を要する工事現場の主任技術者又は監理技術者を兼務できる制度(いわゆる専任特例)が設けられています。
ただし、自由に兼務できるわけではありません。
例えば、
- 当該営業所で契約した工事であること
- 一定金額未満の工事であること(令和7年2月から基準額が改正)
- ICTを活用した施工体制を整備していること
- 営業所と現場が適切に管理できる距離・時間にあること
- 原則として兼務できる現場は1件
など、法令や運用通知で定められた要件を満たす必要があります。
許可申請でよくある間違い
実際に申請では、営業所技術者等に関する補正は非常に多いということです。
例えば、
- 資格で要件を満たすと思っていたが対象外だった
- 実務経験の証明資料が不足していた
- 他社との兼職が判明した
- 常勤性を証明できなかった
といったケースです。
営業所技術者等は建設業許可の根幹となる要件であるため、不備があると許可取得や更新に影響する可能性があります。
今後の制度改正にも注意
建設業では人手不足への対応が国の重要課題となっています。
そのため近年は、
- 営業所技術者等の兼務制度
- 主任技術者・監理技術者の専任基準
- ICTを活用した施工管理
など、技術者配置に関する制度が継続的に見直されています。
2026年6月現在、新たな法改正は公表されていませんが、国土交通省では人材不足対策を背景に運用の見直しが続けられており、今後も通知やガイドラインの改正が行われる可能性があります。
そのため、許可申請や更新の際には、最新の法令・運用を確認することが重要です。
まとめ
「専任技術者」と「営業所技術者等」は別の制度ではありません。
令和6年の建設業法改正により、制度の名称が「営業所技術者等」へ変更されるとともに、一定条件の下で現場との兼務を認めるなど、実務に即した見直しが行われました。
一方で、営業所技術者等の資格要件や常勤性、技術的能力の審査は引き続き建設業許可の重要なポイントです。
制度は毎年のように運用が見直される分野でもあります。
「以前聞いた話だから大丈夫」と考えず、申請や更新の際には最新の法令・通知を確認し、不安がある場合は建設業許可に精通した行政書士へ相談することをおすすめします。
👉 【お問い合わせフォームはこちら】










