法人とは、法律上の人格を持ち、契約や財産の保有、訴訟などの権利義務を行使できる組織や団体を指します。公法人(地方公共団体など)、私法人に分類され、私法人はさらに営利法人(株式会社など)、非営利法人(NPO法人など)の2種類に分類され、それぞれ目的や性質が異なります。
法人は社会的信用が高く、資金調達や取引面で有利ですが、設立手続きや税務対応などの事務負担が伴います。活動内容や目的に応じて適切な法人形態を選ぶことが重要です。

事業を始めるにあたって、法人格が必要となった場合、私法人の中からどの法人組織を設立するか選択することになると思いますが、それぞれの法人の特徴などについて十分理解したうえで決める必要があります。
なお、個人(自然人)以外には、他に民法上の組合や任意団体もありますが学説の解説ではありませんのでここでは省略させていただきます。
営利法人と非営利法人の違い
営利法人と非営利法人の違いは、簡単に言うと事業で得た利益を構成員に分配するかしないかで分かれます。構成員(社員や株主)に分配するのが営利法人で分配しないのが非営利法人となります。よって、事業で利益を得ることは否定されていないので、この段階ではどちらも税法上の違いは予定されていません。
ここで言う利益の分配とは、会計上の利益剰余金についての取り扱いなので従業員に支払う給与(費用)は当然別物になります。よって、この点を抑えておくことが重要になります。
非営利法人について
非営利法人のうち、公益法人を設立するのは特殊なケースだと思いますので、ここではその他の非営利法人について解説します。
その他の非営利法人のうち、学校法人は令和6年度現在、文部科学大臣所管法人が669件、都道府県知事書簡学校法人が7,176件と合わせて全国で7,845件あります。件数も少なく令和3年度をピークに減少傾向にあるようですし、今後は少子化の影響もあって新たな法人設立は少ないようです。士業として関わられたお話も聞いたことはありません。
宗教法人は、令和6年度現在、文部科学大臣所管法人が1,168件、都道府県知事書簡学校法人が177,753件と合わせて全国で178,921件あります。件数としては10年以上減少傾向にあるようです。新たな設立は難しいのかもしれませんが、高齢化の影響もあって許認可申請の手続きは増えてくるのかもしれません。
医療法人は、令和8年現在、59,893件あって年々増加しているようです。行政書士の中にも医療関係の許認可を専門でやられている方もいるようですが、数は非常に少ないと聞いています。
ここまでは、非常に特殊な法人設立ばかり見てきましたが、次からは一般の方も設立される可能が高い法人を見ていきます。
一般社団法人と一般財団法人
一般社団法人と一般財団法人は、「営利を目的としない」という点が最大の特徴です。「営利を目的としない=非営利法人」となるわけですが、収益事業を行ってはいけない、というわけではありません。余剰金が出てもそれを出資者に分配することができないということです。この1点を守ることができるのなら、一般社団法人、一般財団法人いずれも基本的には自由に、どんな事業でも行うことができます。それでは、一般社団法人と一般財団法人の違いはどこにあるのでしょうか?
最大の相違点は、法人の運営基盤を「人」とする法人なのか、「財(お金やモノ)」とする法人なのかです。
一般社団法人は、ある共通の目的を持った「人」が集り、その「団体」に対して、法によって人としての権利を与えられた法人を「一般社団法人」と呼びます。目的を持った人の集まり=団体には、学術団体、研究団体、福祉・医療系の学会、協会、資格団体、同窓会、自治会、企業集団など様々なものがあります。団体の目的がどうであれ、ただ人が集まるだけでは法人格は有りませんので、団体名義で契約をしたり、銀行口座を作ったり、財産を持ったりといった法律行為を行うことができません。法人でなければ団体名義で銀行口座を開設することはできませんので、毎年の会費などの徴収もすべて誰かしらの個人が管理しなければならず、契約(法律行為)を行うときも、団体全員の名前、あるいは代表者個人名義で契約しなければなりません。この財産管理の方法は様々なリスクを孕んでおり、現実的ではありません。このような理由から、比較的規模が大きな任意団体の法人化の受け皿として、設立が簡単で費用も一般財団法人ほどはかからないといった特徴があります。
一般財団法人は、企業や個人から提供された「財産」を活用するために一般財団法人を設立、その財産を維持、運用していくことを設立の目的としています。一般財団法人は「財産」がメインになるので、設立の際に必ず300万円以上の財産を出資(拠出)しなければなりません。この拠出された財産を運用し、一般財団法人を維持、運営していきます。財産を拠出して、一般財団法人を設立し、信頼できる人(理事)にその運営を任せる。財産の出どころ(拠出者)、財産の引受先(一般財団法人)、財産を運用する人(一般財団法人の理事)、それぞれが、法に基づいた義務を負って、責任の所在を明確にしつつ、財産を維持、運用していくことになります。財産を拠出する人を「設立者」といいますが、設立者は基本的に財産を拠出するだけであって、一般財団法人の運営には直接かかわりません。あくまでも第三者へ法人運営を任せることが想定されています。そして拠出された財産は一般財団法人に寄付されたと考えられますので、一切返還はされません。
NPO法人
NPO法人とは、特定非営利活動促進法に基づき設立された非営利の法人格を持つ団体です。営利を目的とせず、不特定多数の人の利益のために社会貢献活動を行います。
特定非営利活動促進法は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、 ボランティア活動をはじめとする市民の自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進することを目的として、平成10年12月に施行されました。
法人格を持つことによって、法人の名の下に取引等を行うことができるようになり、団体に対する信頼性が高まるというメリットが生じます。 「特定非営利活動法人(NPO法人)」は、法人数も増加し社会に定着してきているところですが、平成23年6月には、こうしたNPO法人のプレゼンスの高まりを背景としながら、法人の財政基盤強化につながる措置等を 中心とした大幅な法改正が行われました(平成24年4月1日施行)。NPO法人は令和8年8月時点で54,129社あるとされています。
特定非営利活動とは、以下の20種類の分野に該当する活動であり、不特定かつ多数のものの利益に寄与することを目的とするものです。
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 観光の振興を図る活動
- 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

なお、1法人で複数の活動を行うものとして定款に記載されているので、先ほどの法人数とは一致しません。
社会福祉法人
社会福祉法人とは、「社会福祉事業を行うことを目的として、この法律の定めるところにより設立された法人」と定義されています。ここでいう「社会福祉事業」とは、社会福祉法第2条に定められている第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業をいいます。また社会福祉法人は、社会福祉事業の他公益事業及び収益事業を行うことができます。

社会福祉法人は、一定数の評議員や理事が必要でありそれぞれの人数や役割は次のようになっています。

更に、毎会計年度に社会福祉充実残額(再投下財産額)を算定し、社会福祉充実残額がある法人は、社会福祉事業又は公益事業の新規実施・拡充に係る計画の作成をすることが必要となります。また、次のとおり、決算関係書類等を作成し、備置き・厚生労働省への届出・公表(インターネットによる)を行うことが必要になります。

ここまで、開設した内容をまとめて事業者様の参考になるように一覧表にしました。

次回は、皆様が一番接することの多い営利法人と総括について解説させていただきます。
法人設立にに関する疑問、質問についても、当事務所にお問い合わせください。







