今回は各都道府県、各市町村が作成する障害福祉計画のうち大阪府の例を見ていきたいと思います。
因みに、国や他市町村では「障害者」と表記され、法令でも「障害者」と言われますが、大阪府と大阪市ではある時期から「害」の字はなるべく使わない取り扱いとなっています。
HPでの記載でも「障害者」と「障がい者」が混同する表記にはなっていますが、意識して使い分けをしていることを申し添えます。
目次
「第5次大阪府障がい者計画(改訂版)」および「第7期大阪府障がい福祉計画・第3期大阪府障がい児福祉計画」
大阪府では、「障がい者計画」(障害者基本法第11条第2項)と「障がい福祉計画」(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第89条第1項)、「障がい児福祉計画」(児童福祉法第33条の22)とを一体的に策定しており、令和3(2021)年度から令和8(2026)年度までを計画期間とする「第5次大阪府障がい者計画」を令和3年3月に策定しています。

第5次障がい者計画では、5つの基本原則が示されています。
(1)障がい者差別・虐待の防止、命と尊厳の保持
障がい者が権利の主体として、いつ、いかなるときにおいても人間(ひと)としての尊厳を保持できる差別のない社会の構築に一層取り組んでいきます。また、本人をはじめ社会から孤立した家族や親をフォローし、適切な支援につなぐことにより、障がい者虐待の防止に向けた取組みを進めていきます。
(2)多様な主体の協働による地域づくり
多様化する障がい者ニーズに対し、障がい者の自立と社会参加を実現していくため、行政、障がい者当事者や家族、府民、事業者、NPO、地域団体など多様な主体の参画と協働により障がい者施策を推進していく地域を育んでいきます。
(3)あらゆる分野における大阪府全体の底上げ
大阪府や市町村が連携を強化し、あらゆる地域で支援を行き届かせるとともに、事業者間での連携を図りつつ、地域や多様な主体が切磋琢磨し、あらゆる分野でサービス水準を向上させ、支援の質を高めていきます。
(4)合理的配慮によるバリアフリーの充実
依然として障がい者に対する差別・偏見が存在しているため、今後も障がい特性を勘案した合理的配慮の周知啓発を図るとともに、社会的障壁の除去に向け、ハード面・ソフト面でのバリアフリーの充実に努めていきます。
(5)真の共生社会・インクルーシブな社会の実現
障害の有無に関わらず、それぞれの個性と差異と多様性が尊重され、人格を認め合う「共生社会」、そして、障がい者が社会の構成員として分け隔てられることなく地域社会でともに自立し支えあえる社会(インクルーシブな社会)の実現を追及していきます。
施策の推進方向(最重要施策)
- 入院施設や精神科病院からの地域生活への移行の推進: 入所施設や精神科病院からの退所・退院を促進し、住み慣れた地域で自分らしく暮らせる環境を整備します。
- 就労支援の強化: 一般就労への移行を促進し、就労後も長く働き続けられる定着支援を強化します。
- 専門性の高い分野への支援: 医療的ケア児、発達障がい児者、強度行動障がい、高次脳機能障がいなど、高度な専門性を要する分野への支援体制を充実させます。
共通場面に応じた施策の推進方向
障がい者の尊厳を守り、差別のない地域社会を作るための取り組みが詳述されています。

個別分野ごとの施策の方向性
- 障がい者虐待の防止や差別の解消(「命と尊厳を守る」地域づくり)
- 関係機関による強固なネットワークの構築(「支援体制と課題解決力」の強化)
- 人材の確保と育成(「担い手」の強化)
- 障がい理解の促進と合理的配慮の浸透(「支え合う力」の強化)
- ユニバーサルデザインの推進(「誰もが暮らしやすい」地域づくり)
- 大阪府全体の底上げ(支援の質の向上と支援を行き届かせる地域づくり)
が必要とされています。
生活場面に応じた施策の推進方向
各生活の場面に応じた「目指すべき姿」が定められています。






「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」に基づく『大阪計画』
大阪計画でもめざすべき姿が定められています。

- 文化芸術の振興: 2018年に制定された「障害者文化芸術推進法」に基づき、障がい者が主体的に活動できる環境を整えます。国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)を核として、作品の適正な評価や発表機会の拡大を図ります。
- 2025年大阪・関西万博との連携: 万博を「共生社会」のモデルを示す契機とし、障がいのある人が鑑賞・創造・発表のあらゆる場面で主役となれるよう、関係機関が一丸となって取り組みます。
第7期大阪府障がい福祉計画第3期大阪府障がい児福祉計画数値目標及び見込量について
計画の実効性を担保するため、令和8年度末までの具体的な数値目標が設定されています。
- 施設入所者の地域生活への移行: 令和4年度末から148人(3.2%)削減し、297人(6.4%)の地域生活移行を目指します。
- 精神障がい者の精神病床からの退院後1年以内の地域における平均生活日数: 入院後1年以内の地域での平均生活日数を325.3日以上
- 精神病床における1年以上長期入院患者数:1年以上の長期入院患者数を8,193人まで減少させます。(令和8年6月末)
- 精神病床における早期退院率:入院後3ヶ月時点68.9%、入院後6ヶ月時点84.5%、入院後1年時点91.0%
- 地域生活支援拠点等の機能の充実:令和8度末までに、各市町村において効果的な支援体制及び緊急時の連絡体制の構築、年1回以上運用状況を検証・検討
- 強度行動障がいを有する障がい者の支援体制の充実:令和8度末までに各市町村又は圏域において、強度行動障がい者の実情や求める支援サービス等に関する調査の実施、各圏域において、大阪府強度行動障がい地域連携モデルを参考とした取組を実施
- 令和8年度中の就労移行支援等を通じた一般就労移行者数:年間3,142人以上
- 令和8年度中の就労移行支援を通じた一般就労移行者数:年間2,204人以上
- 令和8年度就労移行支援事業所のうち、就労移行支援事業利用終了者に占める一般就労へ移行した者の割合が5割以上の事業所の割合:6割以上
- 令和8年度中の就労継続支援A型を通じた一般就労移行者数:568人以上
- 令和8年度中の就労継続支援B型を通じた一般就労移行者数:347人以上
- 令和8年度末の就労定着支援利用者数:1,781人
- 令和8年度の就労定着支援の就労定着率:就労定着支援事業の利用終了後の一定期間における就労定着率が7割以上となる就労定着支援事業所の割合が2割5分以上
- 令和8年度の就労継続支援B型事業所における工賃の平均額:16,500円以上
- 基幹相談支援センターの設置:令和8年度末までに全市町村で設置するとともに、基幹相談支援センターが関係機関等の連携の緊密化を通じた地域づくりの役割を担い、地域の相談支援体制の充実・強化を図る体制を確保する。
- 個別事例の検討を通じた地域サービス基盤の開発・改善等を行う取組を行うために必要な協議会の体制の確保:令和8年度末までに全ての市町村の協議会において、個別事例の検討を通じた地域サービス基盤の開発・改善等を行う取組がなされ、これらの取組を行うために必要な協議会の体制を確保する。
- 障がい福祉サービス等の質の向上:令和8年度末までに集団指導の場で注意喚起市町村との連携体制の構築協議の場の設置
- 児童発達支援センターの設置(市町村等数):43
- 障がい児の地域社会への参加・包容(インクルージョン)を推進する体制の構築(市町村等数):43
- 難聴児支援のための中核的機能を有する体制の確保や新生児聴覚検査から療育につなげる連携体制の構築の推進
- 令和8年度末主に重症心身障がい児を支援する児童発達支援事業所の確保(市町村数):43
- 令和8年度主に重症心身障がい児を支援する放課後等デイサービス事業所の確保(市町村等数):43
- 医療的ケア児支援センターの設置:1
- 医療的ケア児等コーディネーターの配置:1
- 令和8年度末医療的ケアを要する重症心身障がい児者等に関する関係機関の協議の場(大阪府):1
- 令和8年度末医療的ケアを要する重症心身障がい児者等に関する関係機関の協議の場(保健所圏域):18
- 令和8年度末医療的ケアを要する重症心身障がい児者等に関する関係機関の協議の場(市町村):43
- 令和8年度末医療的ケア児等コーディネーターの配置(市町村):福祉関係1名、医療関係1名
本計画は、これらの施策を府、市町村、事業者、そして府民が連携して推進することで、障がいの有無に関わらず誰もが自分らしく輝ける「大阪」を創り上げるための道筋を示しています。
今回は大阪府の計画から指定権者が目指す方向性を見てきました。令和8年度中から令和8年度末までの目標値を見てみましたが、実際の達成率は今後注視していく必要があると思います。いずれにしても、法令等を見ていくと国や指定権者の考え方や進む方向性が明らかになってきます。
当事務所としては、41年間で培ったこれらを解読する力を事業者様の適正な運営に役立てたいと考えています。ご質問等あればお気軽にお問い合わせを頂けたらと考えております。







