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法人組織で農業ができるのか?これからの農業のあり方について

法人(会社)が農業に参入する、あるいは農業を始めるために会社を設立する場合、農地法と農振法(農業振興地域整備法律)という2つの大きな法律の壁をクリアする必要があります。

どのような法人であれば農業ができるのか、そしてどのような点に注意して手続きを進めるべきなのかを、分かりやすく解説します。

1. そもそも法人で農業をすることはできる?

結論から言うと、法人でも農業をすることは可能です。 ただし、個人が農業を始める場合よりも、クリアしなければならない条件が厳しく設定されています。

法人が農地を使って農業をする(所有する、または借りる)ためには、農地法に定められた「農地所有適格法人」の要件を満たすか、あるいは「一般法人の貸借(賃借)」のルールを利用する必要があります。

2. 農地法の壁:農地を「所有」するか「借りる」か

農地法において、法人が農地を取得(売買や贈与など)して農業を行うためには、原則として「農地所有適格法人」にならなければなりません。

① 農地所有適格法人の4大要件(農地を「所有」したい場合)

農地を買い取って自社の資産として農業を行う法人のことです。これに該当するためには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。

  • 法人形態の要件:株式会社(非公開会社に限る)、合同会社、農事組合法人などであること。

  • 事業要件:主たる事業が「農業(および農業関連事業)」であり、売上高の過半が農業関係であること。

  • 議決権(出資)要件:農業関係者(常時従事する役員、農地の提供者、JAなど)が総議決権の過半数を占めていること。

  • 役員要件:役員の過半数が年間150日以上農業に従事する役員(常時従事役員)であり、さらにその常時従事役員の過半数が農作業(年間60日以上)に従事すること。

特に「役員要件」「議決権要件」は、異業種から参入する一般企業にとって非常に高いハードルとなります。

② 一般法人の貸借要件(農地を「借りる」だけで良い場合)

「いきなり農地を買い取るのはハードルが高い」「役員を農作業に張り付かせることができない」という一般企業(普通の株式会社など)であっても、農地を「借りる」だけであれば、農地所有適格法人でなくても参入が可能です(農地法第3条第3項)。

これを一般法人の貸借参入と呼び、以下の要件を満たせば認められます。

  • 解除条件付き契約:農地を適正に利用していない場合に、貸借契約を解除する旨の特約を契約書に盛り込むこと。

  • 地域との調和:地域の農業者との間で、水利調整や共同作業などの円滑な関係を維持すること。

  • 常時従事(役員または重要な使用人):法人の役員または重要な使用人(農場長など)のうち、少なくとも1人がその農業に常時従事すること。

「所有」にこだわらなければ、多くの一般企業がこの方法で農業ビジネスに参入しています。

3. 農振法の壁:その農地、本当に農業に使っていい場所?

農地法をクリアできそうな見込みが立っても、次に立ちはだかるのが農振法(農業振興地域整備法律)です。

どれだけ熱意があっても、国や自治体が指定した「枠組み」から外れた農地では、思うように事業が進まないことがあります。

土地は大きく分けて以下の2つに分類されます。

① 農用地区域内(青地:あおち)

農業振興地域の中で、特に「今後も農業として守っていくべき重要な農地」として指定されているエリアです。

  • メリット:農業用施設(ビニールハウスや加工場、堆肥舎など)を建てる場合、手続き(農振除外や用途変更)は必要ですが、農業目的であれば比較的認められやすい傾向があります。

  • 注意点:将来的に農地以外の用途(駐車場や太陽光パネル設置など)に転用することは原則として不可能です。

② 農用地区域外(白地:しろち)

農業振興地域内であっても、青地(農用地区域)に指定されていない農地です。

  • メリット:将来的な転用(農地を宅地や雑種地に変更する)の可能性が、青地に比べて高くなります。

  • 注意点:農地法上の農地であることには変わりないため、農地法3条による許可(貸借や取得の許可)は当然必要です。

企業の参入にあたっては、「自社がどのような農業を行いたいか(単に作物を育てるだけでなく、加工場や直売所、観光農園なども併設したいのか)」によって、選ぶべき土地が青地なのか白地なのかを慎重に見極める必要があります。

青地に加工場を建てようとすると、農振法上の「用途変更」の手続きが必要になり、数ヶ月単位の時間がかかるためです。

4. 行政書士からのアドバイス:失敗しないためのステップ

法人の農業参入を成功させるためのステップは、通常の会社設立や不動産取得とは大きく異なります。

  1. 目的の明確化:「所有」したいのか「賃借」で十分なのかを決め、法人の組織体制(役員構成)を検討する。

  2. 候補地の選定と調査:目星をつけた農地が「青地(農用地区域内)」なのか「白地」なのか、必ず自治体の農業委員会や農林課で確認する。

  3. 農業委員会との事前協議:農地法3条の許可申請を出す前に、地域の農業委員会や地元農家(水利組合など)と丁寧な調整を行う。

農地法や農振法の手続きは、書類を提出してから許可が降りるまでに数ヶ月〜半年以上かかることが珍しくありません。

また、地域コミュニティとの調和が法的な要件になっている点も、農業ならではの特徴です。

まとめ

法人が農業に参入するルートは、「農地所有適格法人になって農地を取得する」か、「一般法人のまま解除条件付きで農地を借りる」の2つです。

どちらを選ぶにしても、農振法による土地の縛り(青地・白地)を無視して進めることはできません。

事業計画の策定段階から、土地の法的性格を正しく見極めることが、農業ビジネスを軌道に乗せる第一歩です。

複雑な書類作成や農業委員会との交渉・調整でお困りの際は、ぜひ農地手続きの専門家である行政書士にご相談ください。

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お問い合わせ | 南大阪の行政書士 西田よしひろ

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