お役立てコラム

障害継続支援B型の工賃について

就労継続支援B型は利用者に対し支払われた工賃の実績を報告する義務があるため、その内容は公表されています。今回は工賃の変遷と問題点について考えたいと思います。

令和6年度の就労継続支援B型事業所及び就労継続支援A型事業所の工賃及び賃金は次のとおりです。

平成24年度からの就労継続支援B型事業所 平均工賃(月額)の推移は次のようになっています。

平均工賃月額に応じた報酬体系を採用する就労継続支援B型事業所については、令和4年度までは前年度の「工賃支払対象者数」を分母に用いた計算方式により算出していいましたが、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定において、障害特性等により利用日数が少ない方を受け入れる事業所へ配慮し、前年度の「一日当たりの平均利用者数」を分母に用いた新しい算定方式を導入することとされたので、令和5年度からは、新しい計算方式による平均工賃月額が反映した結果大きく増加しています。

就労継続支援A型事業所の賃金と単純に比較し検討することはできませんが、障がい者の特性によってどのような仕事ができるのか違ってきますし一概に判断することはできません。ただ、障害者が自立するための糧としてなりえるかどうかについては、その他、年金の受給状況も併せて考える必要がありますが、改善されていく方向に向かうとは思われます。

都道府県別の平均工賃を見てみると、不思議な状況が見えてきます。下の表は2026年10月からの全国の最低賃金の一覧ですが、今年度は地域の乖離を少なくしようと地方の最低賃金の上昇率が高かったので、大都市と地方の差は少し縮まったとはいいながら、まだまだ大都市とその周辺地域の最低賃金がたない状況は続いています。しかしながら、就労継続支援B型事業所の工賃については、そのような状況は見ることが出来ません。最も高いのは徳島県の30,231円で最も低い山形県19,621円とは、10,610円の差があります。また、大都会と言われる東京は24,281円と平均程度の金額でありますし、大阪に至っては19,747円と山形県についで2番目に低い工賃となっています。大阪は中小企業の割合が多く、更に就労継続支援B型事業所の数もいいことから仕事の奪い合いが発生しているので、簡単に工賃を上がらない状況であるなど地域によって簡単には解決できない難しい状況にあるといえます。

障害者白書によると、

工賃・賃金向上のための取組として、「就労継続支援B型事業所の工賃の向上のため、都道府県では「工賃向上計画」を策定している。都道府県は、2024年度から2026年度の新たな「工賃向上計画」を策定し、関係行政機関、地域の商工団体等の関係者と連携しながら、事業所に対する工賃向上のための経営等の支援に取り組んでいる。具体的にはコンサルタントによる企業経営手法の活用や共同受注の促進などを重点に取り組んでおり、厚生労働省は、これらの取組への予算補助を行っている。また、個々の事業所も「工賃向上計画」を作成し、事業所責任者を始め、全職員が工賃向上のために主体的に取り組むこととしている。これらの取組もあり、2024年度の平均工賃月額は前年度より上昇している。」とされています。

事務所にとっては、平均工賃は報酬単価金に直結することから高いに越したことはありません。

就労継続支援B型の基本報酬は、以下のアとイの選択式です。

ア.「平均工賃月額」に応じた基本報酬の評価・・・就労継続B型サービス費(21名以上は省略)

イ.「利用者の就労や生産活動等への参加等」を持って一律に評価・・・就労継続支援B型サービス費

上記アかイのどちらかを選択し、年度途中で変更することはできません。

ア 平均工賃額に応じた報酬体系

区分 平均工賃 報酬単価金
定員20名以下(6:1) 4万5千円以上  837単位/日
3万5千円以上~ 4万5千円未満  805単位/日
3万円以上~3万5千円未満  758単位/日
2万5千円以上~3万円未満  738単位/日
2万円以上~2万5千円未満  726単位/日
1万5千円以上~2万円未満  703単位/日
1万円以上~1万5千円未満  673単位/日
1万円未満  590単位/日
定員20名以下(7.5:1) 4万5千円以上  748単位/日
3万5千円以上~ 4万5千円未満  716単位/日
3万円以上~3万5千円未満  669単位/日
2万5千円以上~3万円未満  649単位/日
2万円以上~2万5千円未満  637単位/日
1万5千円以上~2万円未満  614単位/日
1万円以上~1万5千円未満  584単位/日
1万円未満  537単位/日
定員20名以下(10:1) 4万5千円以上  682単位/日
3万5千円以上~ 4万5千円未満  653単位/日
3万円以上~3万5千円未満  611単位/日
2万5千円以上~3万円未満  594単位/日
2万円以上~2万5千円未満  572単位/日
1万5千円以上~2万円未満  557単位/日
1万円以上~1万5千円未満  532単位/日
1万円未満  490単位/日

イ 「利用者の就労や生産活動等への参加等」を持って一律

区分 利用定員 単位/日
6:1 20人以下  584単位/日
21人以上~40人以下  519単位/日
41人以上~60人以下  488単位/日
61人以上~80人以下  479単位/日
81人以上  462単位/日
7.5:1 20人以下  530単位/日
21人以上~40人以下  471単位/日
41人以上~60人以下  443単位/日
61人以上~80人以下  434単位/日
81人以上  419単位/日
10:1 20人以下  484単位/日
21人以上~40人以下  430単位/日
41人以上~60人以下  398単位/日
61人以上~80人以下  390単位/日
81人以上  376単位/日

工賃のアップについては、比較的恵まれた状況になっては来ていますが、報酬金額の改定が前倒しで行われるなど障がい福祉サービス事業としては厳しい状況ではあります。また、来年度は定例の改定が行われるとすれば、毎年改定がされることも見据えておかなければなりません。

就労継続支援B型は、工賃の支払いという特殊な労働形態を持っていることから事業所経営も難しくなってきますが制度の変化、社会の変化に合わせて継続した事務所運営が大切になってきます。

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