大阪府は、令和8年7月1日から「経営事項審査申請の手引き」を改訂しました。
今回の改訂では、建設技能者の処遇改善に取り組む企業への評価が新設されたほか、建設機械の加点対象が拡大されるなど、経営事項審査の評価に関わる変更が行われています。
この記事では、大阪府知事許可を受けている建設業者の方に向けて、新しい手引きの内容を整理するとともに、今回の改正で何が変わり、申請にどのような影響があるのかを解説します。
1.経営事項審査(経審)とは?
経営事項審査は、公共工事を国や地方公共団体などから直接請け負おうとする建設業者が受ける審査です。
企業の経営規模、財務状況、技術力、社会性などを客観的に評価し、総合評定値(P点)を算出します。
経営事項審査の評価構成
X1 25% 完成工事高
X2 15% 自己資本・利益
Y 20% 経営状況
Z 25% 技術力
W 15% 社会性等
総合評定値(P点) 各評価項目を所定の割合で合算
このP点に発注者独自の評価を加えて、入札参加資格の等級や順位などが決められます。
なお、経営事項審査を受けることと、公共工事の入札参加資格を取得することは別の手続きです。
2.経営事項審査の有効期間
経営事項審査の有効期間は、審査基準日(原則として決算日)から1年7か月です。
結果通知書を受け取っていても、この期間を過ぎると公共工事の請負契約を締結できなくなるため、毎年継続して受審することが重要です。
特に、決算変更届や経営状況分析が遅れると、経審の申請も遅れ、有効期間に空白が生じるおそれがあります。
3.大阪府の経営事項審査の申請手順
新しい手引きでは、次の手順で申請することとされています。
1 決算変更届の提出 事業年度終了後4か月以内に大阪府へ提出
2 経営状況分析の申請 登録経営状況分析機関から結果通知書を取得
3 経営事項審査の予約 FAXまたは申請会場の予約簿で予約
4 経営事項審査の申請 予約日に提出・提示書類を持参して審査
申請書類は原則として正本・副本の2部を用意します。審査では、完成工事高、技術職員、建設機械などの申請内容について確認が行われ、必要に応じて追加資料を求められることがあります。
予約・申請時の注意点
予約は申請日の2か月前から2開庁日前まで受け付けています。電話での予約や変更はできません。
また、経営事項審査の結果通知書は、申請受理後、補正が解消された日から土日・祝日を含む22日程度で発送されます。ただし、年末年始や指定された大型連休の期間は算入されず、審査状況によって遅れる場合があります。
4.令和8年7月の主な改正点
今回の改正で特に重要なのは、次の3項目です。
改正① 建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度が加点対象に
自主宣言制度による評価 新設 新たな加点項目 5点 社会性等(W)の評価項目
建設技能者の処遇改善や働きやすい職場づくりに取り組む企業を評価するため、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言状況が新たに加点対象となりました。
加点を受けるためには、審査基準日が宣言日以降であることに加え、宣言書と誓約書の提出、国土交通省のポータルサイトへの宣言企業としての掲載が必要です。
一方、建設キャリアアップシステム(CCUS)に関連する就業履歴蓄積措置の加点配分は、次のように変更されています。
| 評価対象 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 民間工事を含む全ての建設工事 | 15点 | 10点 |
| 全ての公共工事 | 10点 | 5点 |
| 自主宣言制度 | なし | 5点 |
従来のCCUS関連の取組を継続するだけでなく、新設された自主宣言制度への対応も検討することが重要です。
改正② 建設機械の加点対象が拡大
不整地運搬車
軟弱地盤や不整地などで資材を運搬する建設機械です。
アスファルト・フィニッシャ
道路舗装工事でアスファルト混合物を敷きならす建設機械です。
これまでの加点対象に加え、上記2種類の建設機械が新たに対象となりました。
ただし、保有していれば必ず加点されるわけではありません。対象機械の種類、保有・リース状況、検査記録など、手引きに定められた要件を満たす必要があります。
申請時には、建設機械の保有状況一覧表や写真、検査記録などの必要書類を確認しましょう。
改正③ 社会保険加入状況の評価項目を削除
今回の改正では、次の3項目が経営事項審査の評価項目から削除されました。
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雇用保険の加入状況
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健康保険の加入状況
-
厚生年金保険の加入状況
これに伴い、大阪府の手引きでも関連する必要書類、審査項目の説明、Q&Aが削除されています。
ただし、経審の評価項目から削除されたことと、社会保険への加入義務がなくなったことは全く別です。
法令上加入義務のある事業者は、引き続き適切に加入する必要があります。
5.その他の手引き改訂内容
大阪府が公表した改訂概要では、次の変更も示されています。
| 改訂項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 技術職員コード | 703・704の対象業種に建築工事業、機械器具設置工事業、さく井工事業、解体工事業を追加 |
| 技能者コード | 建設技能者の業種コード一覧を追加 |
| 雇用関係の確認 | 所得税確定申告書の取扱いを追記 |
| 代理申請 | 令和8年1月施行の改正行政書士法に合わせて説明を更新 |
技術職員の資格区分や雇用関係の確認は、申請時の重要な審査事項です。従来の申請書類をそのまま使用せず、最新版のコード表や確認資料に沿って準備する必要があります。
6.申請手数料と必要書類
大阪府の審査手数料は、申請する業種数によって異なります。
| 申請業種数 | 審査手数料合計 |
|---|---|
| 1業種 | 11,000円 |
| 2業種 | 13,500円 |
| 3業種 | 16,000円 |
| 5業種 | 21,000円 |
| 10業種 | 33,500円 |
総合評定値請求を含む大阪府の手数料。1業種増えるごとに2,500円加算。登録経営状況分析機関への費用や行政書士報酬は別途必要です。
提出・提示書類は、申請内容に応じて異なりますが、主に経営規模等評価申請書、工事種類別完成工事高、技術職員名簿、その他の審査項目に関する書類、経営状況分析結果通知書などが必要です。
特に工事経歴書と完成工事高の整合性、技術職員の資格・雇用関係、加点項目の証明資料については、事前に確認しておくことが重要です。
7.経営事項審査を受ける建設業者が確認すべきこと
今回の改正を踏まえ、次の点を確認しておきましょう。
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新設された自主宣言制度の加点を受けられるか
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CCUS関連の加点配分変更が自社の評価にどう影響するか
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保有する建設機械が新たな加点対象に該当するか
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技術職員コードや雇用関係の確認資料に変更がないか
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決算変更届、経営状況分析、経審予約の予定に無理がないか
経営事項審査は、単に必要書類を提出するだけでなく、企業の実態を正確に反映し、適切な評価を受けることが大切です。
今回の制度改正を機会に、自社の加点項目や申請資料を見直してみてはいかがでしょうか。
参考資料・出典
本記事は、大阪府の以下の公式資料に基づいて作成しています。
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大阪府「経営事項審査申請の手引き(令和8年7月改訂版)」:第1章(5~8頁)、第2章(9~12頁)、第3章(13頁以降)、参考資料(108頁以降)
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大阪府「経営事項審査申請の手引き改正について(お知らせ)」:令和8年7月1日改訂内容
※図表は大阪府の手引きに基づいて再構成したものです。建設機械の写真は種類を示す参考画像です。申請時は最新の大阪府公表資料をご確認ください。
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