お役立てコラム

遺言書は元気なうちに準備を!大切な家族のために今できること

「うちの家族は仲が良いから、遺言書なんて必要ない」
「財産もそれほど多くないし、まだまだ元気だから大丈夫」

このように考えている方は少なくありません。

しかし、遺言書は決して財産の多い方だけが作成するものではありません。また、高齢になってから考えればよいというものでもありません。

遺言書は、ご自身の意思を大切な家族に伝え、将来の相続トラブルを防ぐための大切な準備です。

今回は、遺言書を作成するメリットや、どのような方が準備しておくとよいのか、作成時の注意点についてわかりやすく解説します。

1.遺言書がないとどうなるのでしょうか?

人が亡くなると、その方が所有していた預貯金、不動産、株式などの財産は相続の対象となります。

遺言書がない場合、相続人が複数いれば、一般的には相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産を取得するのかを決めることになります。

例えば、父親が亡くなり、母親と子ども2人が相続人となった場合を考えてみましょう。

財産が自宅と預貯金だけだったとしても、次のような問題が生じることがあります。

  • 母親が自宅に住み続けたいが、子どもの一人が売却を希望している
  • 長男が親の介護をしてきたため、他の兄弟より多く相続したいと考えている
  • 相続人同士の関係が疎遠で、話し合いが進まない
  • 不動産を誰が取得するかについて意見が一致しない

家族の仲が良くても、お金や不動産が関係すると、それぞれの生活事情や考え方の違いが表面化することがあります。

相続人全員の合意が必要な遺産分割協議では、一人でも反対する人がいれば、話し合いがまとまらないこともあります。

こうした問題を未然に防ぐための有効な方法の一つが、遺言書の作成です。

2.遺言書を作成する5つのメリット

① ご自身の意思を相続に反映できる

遺言書を作成することで、誰にどの財産を引き継いでもらいたいのかを明確にできます。

例えば、「長年連れ添った妻に自宅を相続させたい」「事業を継いでいる子どもに事業用財産を引き継がせたい」といった希望を、法的に有効な形で残すことができます。

ただし、一定の相続人には遺留分という法律上保護された権利があるため、その点にも配慮することが大切です。

② 相続人同士のトラブルを防ぎやすくなる

遺言書があれば、亡くなった方の意思が明確になるため、財産の分け方をめぐる争いを減らす効果が期待できます。

もっとも、遺言書を作成すれば必ず争いがなくなるわけではありません。

相続人への配慮や、遺言内容の公平性、作成時の意思能力なども重要になります。

③ 残された家族の負担を軽減できる

家族が亡くなった後には、葬儀、各種届出、金融機関での手続き、不動産の名義変更など、さまざまな手続きが必要になります。

有効な遺言書があれば、遺言内容に従って財産を承継できるため、遺産分割協議を行わずに済む場合があります。

また、遺言執行者を指定しておくことで、相続手続きを円滑に進めやすくなります。

④ 法定相続人以外の方にも財産を残せる

例えば、長年お世話になった方、内縁関係にあるパートナー、子どもの配偶者などは、原則として法定相続人にはなりません。

しかし、遺言書を活用することで、こうした方々に財産を遺贈することも可能です。

⑤ 家族への思いを伝えることができる

遺言書には、財産の分け方だけでなく、家族への感謝や希望を「付言事項」として記載することもできます。

付言事項そのものには通常、財産処分のような法的効力はありませんが、遺言者の気持ちや財産の分け方の理由を伝える役割があります。

3.特に遺言書の作成をおすすめしたい方

次のような方は、早めに遺言書の作成を検討することをおすすめします。

① 子どもがいないご夫婦

子どもがいない場合、配偶者だけでなく、亡くなった方の親や兄弟姉妹などが相続人になることがあります。

配偶者にできるだけ財産を残したい場合には、遺言書が有効な対策となります。

② 再婚している方や、以前の配偶者との間に子どもがいる方

再婚している場合、以前の配偶者との間に生まれた子どもも相続人になります。現在の配偶者やその子どもとの間で、遺産分割について意見が異なることもあります。

将来の相続トラブルを防ぐためにも、遺言書によって財産の分け方を明確にしておくことが大切です。

③ 主な財産が自宅などの不動産である方

不動産は預貯金のように簡単に分割できません。

誰に引き継いでもらうかを事前に考えておくことが大切です。

④ 特定の家族に財産を多く残したい方

介護を担ってくれた子どもや、家業を継いでいる子どもなどに多く財産を残したい場合にも、遺言書の作成が役立ちます。

⑤ 障がいのあるお子さまの将来が心配な方

親が亡くなった後の生活を考え、財産をどのように引き継ぐかを準備することは重要です。

ただし、遺言書だけでは財産管理や生活支援の問題をすべて解決できないため、必要に応じて成年後見制度や信託なども含めた検討が必要になります。

4.遺言書にはどのような種類があるのでしょうか?

一般的に利用される遺言書には、主に次の2種類があります。

自筆証書遺言

遺言者が原則として全文、日付、氏名を自書し、押印して作成する方法です。財産目録については一定の要件のもとでパソコンなどによる作成も認められています。

費用を抑えて作成できますが、法律で定められた方式を満たさないと無効になるおそれがあります。

また、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、紛失や改ざんのリスクを軽減でき、家庭裁判所の検認も不要になります。

公正証書遺言

公証人が法律に定められた方式に従って作成する遺言書です。

原則として証人2人の立会いが必要で、公証人による確認を経て作成されるため、方式不備による無効のリスクを抑えられます。

また、原本が公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配も少なくなります。

公証人の手数料などは必要ですが、確実性を重視する方には、公正証書遺言をおすすめします。

5.遺言書はいつ作成すればよいのでしょうか?

遺言書の作成に、何歳から始めるべきという決まりはありません。

大切なのは、ご自身の意思を明確に判断し、表現できるうちに準備することです。

高齢になり、認知機能が低下した場合などには、遺言能力の有無が問題となり、遺言書を作成することが難しくなることがあります。

また、遺言書は一度作成したら変更できないものではありません。

法律で定められた方式に従い、後から撤回したり、新たな遺言書を作成したりすることも可能です。

60代、70代の元気なうちから、財産や家族の将来について考えてみてはいかがでしょうか。

6.行政書士がお手伝いできること

行政書士は、遺言書の作成に関する相談や、自筆証書遺言の作成支援、公正証書遺言の原案作成、必要書類の収集などをお手伝いすることができます。

当事務所では、大阪市の行政現場で41年間勤務した経験と、2級ファイナンシャル・プランニング技能士としての知識を生かし、ご本人の希望やご家族の状況を丁寧にお伺いしながら、遺言書作成をサポートします。

なお、相続人間に紛争がある場合の法律相談や交渉、相続税の具体的な税務相談、不動産登記など、他の専門資格が必要な業務については、弁護士、税理士、司法書士などの専門家と連携して対応します。

7.まとめ ― 遺言書は家族への思いやりです

遺言書というと、「亡くなることを考える書類」という印象を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、遺言書は残される家族が安心して生活を続けるための、前向きな準備でもあります。

財産が多いか少ないかにかかわらず、ご自身の思いを整理し、大切な家族に伝えることには大きな意味があります。

「まだ早い」と思っている今こそ、一度、ご自身の財産と家族の将来について考えてみませんか。

遺言書を作成した方がよいのか、どのような方法が適しているのか、まずはお気軽にお問い合わせください。

ご相談は当事務所のお問い合わせフォームからお願いいたします。

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