障害福祉サービス等報酬については、令和7年12月24日の大臣折衝において、介護報酬と同様に、「「強い経済」を実現する総合経済対策」を踏まえ、本来であれば令和9年度障害福祉サービス等報酬改定まで待って改定する予定であったが、その時期を待たずに期中改定を実施するとされました。今回は期中改定された障がい福祉サービス等の報酬改定について解説します。
具体的には、介護分野の処遇改善の対応状況も踏まえ、介護分野との収支差率や賃上げの状況の違い等、障害福祉分野における総費用額の伸び等も勘案しつつ、政府経済見通し等を踏まえた障害福祉分野の職員の処遇改善、障害福祉サービス等事業者の生産性向上や協働化の促進のため、以下の措置を講じるとされました。なお、これらの措置による改定率は+1.84%(国費+313億円(令和8年度予算額への影響額))となります。
・ 福祉・介護職員のみならず、障害福祉従事者を対象に、幅広く月1.0万円(3.3%)の賃上げを実現する措置を実施する。
・ 生産性向上や協働化に取り組む事業者の福祉・介護職員を対象に、月0.3万円(1.0%)の上乗せを措置する。
※ 合計で、福祉・介護職員について、最大月1.9万円(6.3%)の賃上げ(定期昇給0.6万円込み)が実現する措置。
・ 上記の措置を実施するため、今回から、処遇改善加算の対象について、福祉・介護職員のみから、障害福祉従事者に拡大するとともに、生産性向上や協働化に取り組む事業者に対する上乗せの加算を設ける。また、これまで処遇改善加算の対象外だった、計画相談支援、障害児相談支援及び地域相談支援について、新たに処遇改善加算を設ける。さらに、ベースアップなどによる更なる賃上げや生産性向上等の取組を後押しするために必要な措置を講ずる。
・ 訪問系サービスにかかる国庫負担基準については、改定内容を踏まえて所要の措置を実施する。
あわせて、障害福祉サービス等の総費用額が急激に伸びている状況や営利法人を中心とする新規参入の増加も一因として障害福祉人材の確保が一層厳しくなっている状況も踏まえつつ、利用者に提供されるサービスの質の確保・向上を図りながら制度の持続可能性を確保する観点から、「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」における議論を踏まえ、緊急的な所要の見直しを実施するとされました。
なお、令和9年度障害福祉サービス等報酬改定に向けては、福祉・介護分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保を図る必要があるとの認識のもと、令和7年度から運用を開始した障害福祉サービス等事業者の経営情報データベースや「障害福祉サービス等経営実態調査」等において、令和6年度改定、令和8年度改定及び令和7年度補正予算で措置した施策や物価や賃金の上昇等が障害福祉サービス事業者の経営状況等に与えた影響について把握し、同時に、利用者数が増加する中で、利用者の特性やニーズの多様化を適切に把握した上で、制度の持続可能性を確保するとともにサービスの質の確保・向上を図る観点から所要の措置を講じるほか、障害福祉分野の処遇改善において、介護分野と比べてベースアップの割合が低いことも踏まえた対応を行うことを検討するとされています。
具体の変更は次のとおりです。
(1)加算の対象の拡大
○ 「経済財政運営と改革の基本方針 2025」(令和7年6月 13 日閣議決定)において、「現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行う」とされており、福祉・介護職員のみならず、相談支援専門員等の専門職の人材不足も深刻である状況や、現行の処遇改善加算が福祉・介護職員以外にも配分されている実態等を踏まえ、処遇改善加算について、引き続き福祉・介護職員の処遇改善が重要であることに留意しつつ、福祉・介護職員以外の障害福祉従事者を新たに対象とする。
(2)生産性向上や協働化に取り組む事業者に対する上乗せの加算
○ 現行の処遇改善加算対象サービスについて、引き続き処遇改善が推進されるよう現行の取得要件は維持しつつも、持続的な賃上げに向けた環境整備の必要性等を踏まえ、生産性向上や協働化に向けた取組について、現行の処遇改善加算Ⅰ及びⅡの加算率に上乗せを行う要件として設ける(詳細は(4))。
(3)新たな加算対象サービス
○ (1)のとおり、福祉・介護職員以外の障害福祉従事者を新たに対象とすることを踏まえ、児相談支援及び地域相談支援を新たに処遇改善加算の対象とする
計画相談支援、障害児相談支援及び地域相談支援を新たに処遇改善加算の対象とする。
○ 新たに対象とするサービスについては、現行でも処遇改善加算の対象となっている他のサービスとの均衡等の観点から、現行の処遇改善加算
Ⅳの取得に準ずる要件として、キャリアパス要件Ⅰ及びⅡ並びに職場環境等要件を算定の要件(※)とする。
(※)当該要件の整備には一定期間を要することから、令和8年度中の対応の誓約で可とし、実績報告書により確認することとしたうえで、未対応が確認された場合には加算額の一部又は全部を返還させることとする。
(※)生産性向上や協働化に取り組む事業所((4)の特例要件満たす事業所)は上記要件を要しないこととする。
(4)ベースアップなどによる更なる賃上げや生産性向上等の取組を後押しするために必要な措置
○ すでに賃上げや職場環境改善等に取り組んでいる事業者も含め、更なる取組を後押ししていくために、現行の処遇改善加算対象サービスの要件について、以下の見直し(※)を行う。
(加算Ⅰ・Ⅱ)a・b のいずれかを満たすこととする
a)現行のキャリアアップ要件Ⅳ(経験・技能のある障害福祉人材のうち1人以上は、賃金改善後の賃金額が年額440万円以上)について、直近の全産業平均水準の状況を踏まえ、年額460万円以上であること
b)職場環境等要件について、現行の要件に加えて、全体から更に1つ以上(14以上)取り組むこと
(加算Ⅲ・Ⅳ)
・職場環境等要件について、現行の要件に加えて、全体から更に1つ以上(8以上)取り組むこと
(※)上記いずれも、要件の整備に一定の期間を要することから、令和8年度中の対応の誓約で可とし、実績報告書により確認することとしたうえで、未対応が確認された場合には加算額の一部又は全部を返還させることとする。
○ (2)の上乗せ加算については、「ア・イのいずれか及びウ」(特例要件)を満たしていることを要件とする。
ア)現行の職場環境等要件の生産性向上に関する取組について5つ以上取り組むこと(必須要件:現行の⑱(現場の課題の見える化)+㉑(業務支援ソフト・情報端末の導入))
イ)社会福祉連携推進法人に所属していること
ウ)加算Ⅱロ相当の加算額の2分の1以上を月給(基本給又は決まって毎月支払われる手当)の改善に充てていること
(※)ア・ウは、令和8年度中の対応の誓約で可とし、実績報告書により確認することとしたうえで、未対応が確認された場合には加算額の一部又は全部を返還させることとする。
(※)特例要件を満たす事業所は、加算Ⅰ~Ⅳで求められるキャリアパス要件や職場環境等要件については、令和8年度中の対応の誓約で可とし、実績報告書により確認することとしたうえで、未対応が確認された場合には加算額の一部又は全部を返還させることとする。
(施行時期)
令和8年6月施行とするとされました。
文字だけで難しいですが、次のような整理になります。
①処遇改善加算の対象を福祉・介護職員のみから障害福祉従事者に拡大する(加算率の引上げ)
②生産性向上や協働化に取り組む事業者に対する上乗せの加算区分を設ける(加算Ⅰ・Ⅱの加算率の上乗せ)
③処遇改善加算の対象外だった計画相談支援、障害児相談支援及び地域相談支援に処遇改善加算を新設する
④ベースアップなどによる更なる賃上げや生産性向上等の取組を後押しするために必要な措置を講ずる。

算定要件、職場環境等要件は次のようになります。









